色々な企業のお話を聞いていると
たまに
というお話を聞くことが有ります。
これ・・・・・書くと一行ですが、とんでもない事態です。
これが起きている会社、どこでも言えることなんですが
前任者から引継ぎができていない(もしくは引き継げる人がいない)ので
今何かあったら、とても困る
という状況になっています。
当事者はこの状態になって、事態の深刻さに直面しているので
言わずもがなだと思いますが
これって聞かされるだけだと、何とかなるように思う人もいるかもしれません。
しかし、システム屋さんからするとこれは相当大変(面倒)な案件で
私も
「この状態になっているので何とかしてあげて」
と言われても、懇意にしている方からの紹介とかでもない限り、軽々には引き受けないと思います。
もしくは予算度外視などの条件が付くとか・・・
それぐらい、これって大変な事なんです。
なにがそんなに大変なのかを例示すると
などがよくある話です。
これも依頼をする側は
「システム屋さんなら詳しいからわかるでしょ?」
ぐらいのノリで言っているのだと思いますが、これはとっても大変です。
例えていうなら
組み立ても塗装もプロが行った完成形のプラモデルを出してきて、
「これどうやって作ったかわからないんだけど、部品構成から調べてくれない?」
と言っているのと同じです。
もしくはプロが作った料理を出してきて、
「これと同じ料理作りたいから、材料と作り方を調べてくれない?」
と言っているのと変わりません。
これを依頼されたらたぶん、みんなこう言うと思います。
「同じプラモデル買ってきて、もう一回プロに作ってもらったら?」
「お金払ってシェフにもう一回作ってもらいなよ」
そういうと相手はこういうかもしれません
「いや、それはお金がかかりすぎる。もうちょっと安くしたいんだが」
「・・・・」
これを聞いておそらく大半の人は
「なんと都合のいいことを言っているんだ」
と思うと思いますが、システムでも全く同じです。
私がアドバイスするとしても
「もう一回自分たちが何をやりたいかの整理から初めて、新しいシステム入れたほうが安いですよ」
になると思います。
プログラムというのは
同じことをするにしてもいろいろやり方があって
それは人それぞれの個性がものすごく出ます。
そして、人となりも何も知らない人が作ったプログラムを解析するのは
精神的にも非常に「キ」ます。
出来上がっているプログラムの仕様を解析することをリバースエンジニアリングと言いますが、こういう言葉ができるぐらいに、一つのジャンルとして確立してしまっています。
リバースエンジニアリングというのは
依頼される側は上記したように、精神的にも労力的にも非常に疲れるので敬遠されがちな作業です。お金もすっごくかかるので、見積結果を見た依頼主から胡散臭い顔で見られるというおまけつきです。
しかし、これは依頼する側にもあまりメリットがない話で
たくさんの時間とお金をかけて、得られるものが
「今何をやっているか」
でしかなく、ポジティブな成果を何も得られないんですね。
現状がわかった挙句に、結局新しいシステム入れることになりました。
なんてことも往々にあることです。
そして、IT担当者がいなくなって困っているということは
という事なので、そもそも解析しようとしているシステム自体も
老朽化していて、自社の業務に全くあっていない
という事態になっていることが非常に多いです。
なので、わざわざお金をかけて老朽化して実務にあっていないシステムの解析をするぐらいなら、0ベースで新しいシステムの導入を検討したほうが投資対効果も得やすいんですね。
というようなお話を良くさせていただいています。
ただし、私の言うことを聞いてくださって
「じゃあ、新しいシステム入れよう!」
と決断してくださっても、システム導入後にそれを放置していたら
また同じことが起きてしまいます。
だから、システムを刷新するという事も
実は暫定対応でしかなく、
根本対応は「継続的なIT投資」だったりします。
もうこのブログでもくどいぐらい言っていますが
ITはすでにありとあらゆる業務に浸透しています。
そのITに対して投資をしないというのは
BCP(事業継続計画)を無視しているという事に他なりません。
ITをそれ単体としてみるのではなく
会社そのもののインフラであるという事をちゃんと理解していれば・・・・
実際、
「IT担当者がいなくなって困った」
と言っているという事は、無意識であっても「ヤバい」という事がわかっているはずです。
そこをしっかり意識して、ITに対する投資をきちんととらえてもらう。
IT担当者が退職して困ってるんだけど・・・・
そもそもこれを起こさないのが大前提
起きてしまったのなら、相応の出費を覚悟すべき
そういう深刻な事態だったりするんです。